今日、無事に叔父の告別式が終わった。

叔父は離婚していて、実質３人の子供（ボクの従兄弟）と、親類といってもボク以外は他の従兄弟4人と、その従兄弟の子供達の総勢２０人程の小さい葬儀。

　叔父の２人の兄弟も、列席していない。

いろいろ事情はあるが、葬儀をするにあたり、ボクの知らない所で何かがあったのかも知れない。

それにしても、他に何かがあるにしても、７０年余りの年月を生き、長年関わりのあった人が、最後のお別れの式にほんの数年の諸々の事情で・・・とは思う。

　急に話は逸れるが、今日奥さんのほっぺが膨らんだ。

奥さんからある提案があったので、大丈夫かどうか少し考えてから、『いいんちゃう？』と返事したら、『なんか嫌そうやからいいっ！』と言う事だった。

　今日、奥さんには大切な休みに、告別式に行く為に１日つき合ってもらった。
きちんと『今日は、ありがとう』って言ってなかった。

ボクにとっては一番大切なのは家族に決まってる。

家族が大事だからこそ、しなくては成らない事もあるって、最初は思ったけど、本当は、大切な一言をいってなかった。。そう思っているうちに『山のあなたの空遠く・・・』というカールブッセの詩が耳の奥で聞こえた。

今日、この詩が頭に浮かんだのは、告別式の終盤に見た幻想（妄想）が頭に焼き付いていたからだ。

気になったので、詩の全文を確認してみた。

　　　山のあなたの空遠く
　　　幸い住むと人のいふ。
　　　ああ、われ人と尋めゆきて、
　　　涙さしぐみかへり来ぬ。
　　　山のあなたのなほ遠く
　　　幸い住むと人のいふ。

ボクも遠い山の頂きにある幸せを目を細めながら見ていたのかも知れない。
　同じく遠くにあると思っている人々は、なかなか掴む事が出来ずに泣きながら山を下りてくる。

ボクの奥さんも息子達も遠くの山にいるわけではなく、すぐ近くにいつも居るんだって思った。

　今日、出棺前の最後のお別れの時、実子と孫の７名だけが棺のすぐ傍で涙を拭いていた。

ふと会場の出入り口付近に目をやると、ただ一人、親類ではない７０歳前後の女性が居た。

泣いているのを誰にも気づかれない様に、そしてほぼ親類だけの告別式に遠慮しているかの様に・・・
少し離れた所からお別れをしていたのかも知れない。

従兄弟にこっそり聞いたら、１０年程前から伯父さん、その女性は一緒にささやかな生活を共にし、今日までの１年程は伯父さんの闘病生活を支えてくれていたらしい。

　疎遠だったり、普段のいざこざで兄弟も欠席する、傍目から見たら世間的に言うさみしい告別式だと思われたけど、そうでもなかった。よかった。

７０年という短い様で長い人生の終盤に、笑いながら嬉しそうにその女性と手をつなぎ、大きな山を背にコチラに歩いてくる伯父さんの姿が一瞬見えた気がした。

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