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たまご

インフルエンザで熱と戦う、朦朧とした意識の中、滋養を摂る意味でも毎日頂いている「たまご」について思いが巡った。

悪条件の中、脳裏を辷る徒然草が気づくと前の甲子園球場の蔦の様に妙な趣きを醸し出し、書かなくては!!っと思い打ち込んでます。

10日ほど前に、これから工事が始まると言う日にH様ご夫婦と、そのご両親が揃ってご挨拶に来てくださった。

「これはみなさんに、それでこれはお子さんたちに」と大きな菓子折りを二箱もくださった。

それまでも、いろいろとお気遣いを頂いていたのに、そこまでして貰うと本当に恐縮してしまう。
僕たちは何も出来ていないどころか色々と心配をかけているだけだから。

そして勝手口での短いやり取りの終いに、今まであまり言葉を発しないお父様が僕の前に出て

    「これ、たまごご飯で食べたら凄く美味しいんですよ。よかったら。」

と一言添えて【たまご】を1パック手渡してくださった。

思えば、お父上とは不動産屋で店舗の賃貸借契約の時に初めてお目にかかってそれっきりだった。

H様ご夫婦と僕と双方の仲介人(不動産屋)とで話を煮詰める中、一間ほど離れた場所のカウンターにただ腰掛けて居るいぶし銀の紳士が一人、担当者の手が空く迄待っているんだろうか・・・ただ座っているだけだった。

ひと通りの契約とその云々の手続きをが終わって、雑談で契約の余韻を濁している時に不動産屋の担当さんから「こちら借主さんのお父様です」とカウンターに座っている紳士を紹介された。

「あ、すいません・・・今後とも宜しくお願いしますっ!」
「○◯の父です。今日はありがとうございます。宜しくお願いします」

少なすぎず、多すぎず、余計な言葉もない完璧なご挨拶だった。
その雰囲気から醸し出す挨拶だけで萬の言葉を受け取った気分だった。

その強烈な印象が、たまごを受け取った瞬間にフラッシュバックした。

そして今回の言葉もまた短く、且つ尊いメッセージが隠されていた。
それに気づいた今、一刹那の闇に消える前に、キーボードを打ち綴っている次第。

さて、肝心のその「たまご」。

本当に良いものだった。
少なくとも日頃生きていくためと言うシンプルな目的のために長蛇の列に並んでまでしてスーパーのタイムセールの玉子を求めて来た僕にとっては、頂いた「たまご」は未知の領域であり、例えいつも買う玉子と同じ棚にならんでいてもアンタッチャブルな代物だ。

色・形・趣。
殻を割る時に、若干の手首の工夫が必要な程度の程よい殻の硬さ。
ハリと弾力のある濃厚卵白。
純粋な黄色い色の美しい黄身。
僕が知り得る、正しい「たまご」としての要素が余すところなく形容できる。

「たまご」ひとつで大層かと思われるでしょうが、僕にとって「たまご」はとても大切なモノなのです。

僕が親元を離れ、一人暮らしをする時に母に言われた一言が
「まさる!給料が出たら米と玉子だけは先買ぉとき!ほんなら死ぬことはないさかい!」

もう一人で生きていくんやで・・・と言わんばかりの忠告を含めたお別れの言葉だった。
その日以来、結婚して所帯をもち18年経った今でも、終わりかけの仕事に余情を感じながらスーパーの列に並んででも玉子はキラさない。
言わば僕の命を繋いできたのが「たまご」と言っても過言ではない。

 話を戻します♪

今回、なぜ「たまご」だったのだろう?
そう考えた時、少ない言葉の中に萬の言葉を含ませる術をもつお父様の事だから「何か」メッセージがあるに違いない。

日本には古来から「見立て」と言う概念というか文化がある。
ミロのヴィーナスやダヴィデ像のように直接的に美を表現する西洋式ではなく、龍安寺の枯山水や天竜寺の龍門瀑のように、美しい自然の造形に想いをなぞらえる文化だ。

普通のたまごご飯、鰹節を混ぜたたまごご飯、少し焼いた半熟を混ぜた玉子ご飯、濃いめに味付けしたすき焼きを混ぜた”すき焼きたまごご飯”と日々お父様のお言葉を律儀に実践するにつれ、たまごご飯を噛みしめる度にその真意が見えて来る。

お父様は恐らく、先達て結婚しこれから夫婦で新しい店を始めるオーナー夫婦を見立てたのだろうか?そう思えるようになってきた。

「曲がることなく反れることなく綺麗に育ったたまご」→この子らなら大丈夫
「煮たり焼いたりせずとも十分に美味しい」→シンプルに付き合ってほしい、裏はないから斜に構えなくて良いよ
「味は保証つき」→まぁ心配すんな

そういうメッセージが隠されていたのかなぁ・・・口の中で広がる玉子とご飯の戯れのように、頭の中でも言葉が渦巻いた。

きっと、普通に自分がここのたまご好きだからって事でご挨拶にくださったんだろうけど、毎日1個ずつ「たまご」を食べているうちに妄想癖が熱を帯びてきて、毛穴から言葉が漏れる寸前にテキストエディターに打ち込む羽目になりました。

最後にH様ご夫婦とそのお父様とお母様・・・勝手に僕の妄想劇に登場させてしまってすいません。

お菓子も皆で美味しく頂きました。もちろん「たまご」は卵かけ御飯に始まり、1個ずつ色んなバリエーションで頂きました。
本当にありがとうございました。

あと2週間ほどで改装工事が終わりますが、これからも末長くお世話になります。

tamago

※ちなみに僕は「たまごご飯」を食べる時、好んで冷やご飯を用います。理由はシンプルに「その方が好き」だからです。